梅雨入りしましたが、皆さんはお元気でお過ごしですか。
最近の書籍を幾つか紹介させていただきます。
6月10日に、宮台真司×宮崎哲弥『ニッポンの問題。M2:2』(インフォバーン)が公刊されました。初版8000部スタートでしたが、BK1で総合2位を獲得するなど人気でしたので、即日5000部増刷となりました。
5月22日に、斎藤環さんの『OK?ひきこもりOK!』(集英社)が出版となりましたが、この本には斎藤環×宮台真司の長い対談が2本(原稿用紙100枚以上)が収録されています。
4月20日に、吉田司さんの『聖賤記』(パロル舎)が公刊されましたが、この本には吉田司×宮台真司の長い対談「天皇と日本──大亜細亜主義宣言」が収録されています。
以下は最近の原稿です。
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■2000年6月21日、岡山の高3少年は、自分をいじめる野球部の4人をバットで殴って負
傷させた。殺人したと思い込んだ少年は「母親に迷惑をかけたくない」と今度は母親をバッ
トで撲殺。自転車で逃げた彼は16日間で千キロを走り、7月6日秋田県で逮捕された。
■この逃避行をめぐっては、比較的忠実な再現から、事件にモチーフを借りたフィクショ
ンまで、私の知る限り幾つかの映画化の企画が立った。李相日監督『BorderLine』は後者
に当たる(タイトルは「境界線」とも訳せるし、精神医学で言う「境界例」とも訳せる)。
■私自身はこの事件をめぐる別の企画に関わっているが、高3少年の動機づけをめぐって
は主要2つの謎がある。一つは、親子関係がいかなるものだったのかということ。もう一
つは、なぜ北方に千キロも走ったのか、少年はどこに行くつもりだったのかということ。
■李相日監督は、後者については「母を訪ねて」という当たり前の理由を立ててクリアー
の上、もっぱら前者──親子関係──について想像力を集中して映画のドラマツルギーを
組み立てる選択をした(私自身は後者すなわち、なぜ「南」でなく「北」かに集中する)
■李相日監督が選んだのは「親許し」のモチーフ。「親許し」モチーフの映画は、「父許
し」に限定しても、生前の和解ならエットーレ・スコラ監督『Barに灯ともる頃』、死後
の和解ならばクリス・エア監督『スモーク・シグナルズ』などが、すぐに思い出される。
■そのエッセンスは“親の理不尽な振舞いを恨む子が、長じて親と向き合った結果、親に
は親の事情(究極の逆境や壊れた人格)があって選択の余地がなかったと知り、地獄の煩
悶の末に許す”という形を取る。要は「親の心、子知らず」という諺に集約されるのだ。
■この伝統的なモチーフを反復することは、過去の名作と競合関係に入るという困難な道
にチャッレンジすることを意味する。そうしたチャレンジを成功させるには、過去の名作
に互してポイントを稼がなければならない。『BorderLine』はみごとに勝ち抜いてみせた
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5月8日に、衆議院青少年問題に関する特別委員会で参考人として意見陳述した際の、基調発言と質疑が、国会会議録データベースにアップされました。http://kokkai.ndl.go.jp/に入ったら「宮台真司」で検索してみてください。なお以下には、基調発言部分と、質疑への応答部分のみ、転載いたします。質問部分は著作権上転載できませんので、国会会議録データベースで見てください。
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■今回付録CD-ROMに収録した「丸激」(1)は5月3日にアップロードしたもの 。前半は白
装束集団・パナウェーブ研究所について。後半は4月30日に私が証人出廷した松文館猥褻
裁判について。後半は私のホームページ(2)に譲り、前半について紹介する。
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