宮台のコメント部分だけ抜粋します。
僕自身は外国人参政権に反対の立場です。
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■外国人参政権を考える上で、在日韓国・朝鮮人とそれ以外を分ける必要があります。在日韓国・朝鮮人以外の永住外国人は、’90年の入国管理法改正(永住権のない外国人を柔軟に受け入れることを目的として「定住者」という新しい在留資格を創設するなどした。これで日系外国人の在留が激増)大量に入国した日系人が中心です。
■在日韓国・朝鮮人については国籍取得が容易なので、参政権を求めるのであれば国籍を変えていただきたい。帰化をすればエスニック・アイデンティティに瑕がつくとの反論もありますが、国籍とエスニック・アイデンティティを分けて考えるのが国際標準なのです。
■ただし、国籍取得は政治参加の一手段ですが、国籍の意義は民族、国家、時代によって違い、一義的な議論は難しい。国籍は永住外国人の自己決定に委ねた上で、政治への関与の仕方を実情に即して問うべきです。
■例えば、参政権を与えることにで政治が左右されてしまうというのは、実情と無関係な単なる杞憂です。現在永住外国人の数は日本国民のわずか約1.7%に過ぎません。
■税負担の対価として参政権を付与すべきという意見もありますが、税負担は行政サービスやそれによって構築された、いわば「インフラ使用料」で、全く別の話です。いずれにせよ、これらは全て本質的な問題ではない。
■問題は、在日韓国・朝鮮人以外の永住外国人です。彼らは、参政権以外の権利は日本人とほぼ同等ですが、運用面で保障されていない。これは大問題です。
■例えば在日ブラジル人が生活保護を申請すると「いつまで日本にいるのか分からない」などの理由で窓口で却下される。なので貧困から小学校に行けない子もいて、日本語も喋れない。こうした人権侵害を放置して参政権を議論するのは本末転倒です。
■当の永住外国人の多くが参政権を欲しないのには理由があります。それは、日本人のコミュニティと永住外国人のコミュニティが混じり合っていないからです。
■現状では、永住外国人は日本社会から隔離されたコミュニティを作り、それぞれのエスニック・リソースを使って暮らします。日本社会で正当な権利を使えないから、仕方ないのです。だから社会参加を要求しないのです。
■現状の教育権の侵害がなくなれば、二世三世が日本人と交わるようになり、「アイツに権利があって自分にないのはおかしい」という感覚が必ず芽生えます。どの国でもそうなのです。
■外国人の権利が「現行法レベルでさえ」保障されれは、二世三世の段階で初めて参政権を考える素地ができます。拙速の参政権論議は、永住外国人らに対する人権侵害を覆い隠すための目くらましではないでしょうか。