いよいよ発売です。8月6日には主要書店に並びます。宜しくご感想をお寄せ下さい。
なお元になっている連載自体は永久に継続させていただく所存です。6日発売の9月号は、淫とう論です。
僕の寄せた長い後書きがついています。「そう語るお前は、いったい誰だ」。絶えずそう問い続ける野坂昭如の記述スタイルの社会学的な意味について論じています。野坂さんの文章自体も、テーマがテーマだけに、存分に満喫できます。
一昨日(7月29日)には、久間章生・自民党幹事長代理と60分ほど「まる激」でトークし、その直後に、藤井裕久・民主党幹事長と20分ほど「TBSデイキャッチ」でトークする機会がありました。お二人とも何度かお話ししてきた間柄なのですが、かなり突っ込んだ話ができたのではないかと思います。
番記者といえどもこれだけ長い間トークできる機会は珍しいので、周囲の方々には不思議がられているのではないかと思います。秘密の一端は「まる激」での久間さんとのトークをご覧いただければお分かりいただけるのではないでしょうか。久間氏は当初は例によってノラリクラリ・モードですが、しばらくするとエイジョイ・トーキング・モードに入っておられます。
TBSでの藤井さんとのトークをお聞きになった方にも、同じことをお感じになるだろうと思います。藤井さんも久間さんも、東大法学部から官僚を経た方で、頭脳はきわめて明晰。マスコミや記者連中の低レベルぶりには、ほとほとウンザリされていらっしゃるように拝察します。僕自身は大した話はしていないつもりですが、よほど差があると見えます。
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ちなみに、藤井さんとのトークで紹介した(まる激での久間さんとのトークでも一部言及していますが)、岡田克也民主党幹事長の米国での公式発言、すなわち「憲法改正+安保理決議」を条件として「海外での武力行使」をなしうるとした発言は、長年表明してきた(ここでも繰り返し紹介してきた)考え方と同じロジックです。
すなわち、(1)憲法改正によって集団的自衛権を明示的に許容した上で、(2)国家安保基本法を作ってマルチラテラルな合意形成(今なら安保理、将来的にはアジア集団安全保障体制)を集団的自衛権行使の要件とする、という考え方です。ちなみに、時に応じて何をマルチラテラルな場とするべきかが変わるので、安保基本法でこれを定めるという趣旨ですね。
こうしておけば、米国から理不尽な派兵要求がなされても、「お気持ちは分かりますが、マルチラテラルな合意形成をパスしてください」と、国際的に正統な形で拒絶することができます。そして、そのことによって、「日本を常任理事国にしたら米国に2票与えるのと同じじゃん」という国際常識を覆し、マルチラテラルなエージェントとしての信頼を蓄積できます。(ちなみに、この国際常識がある限り、アーミテージがごときが何をほざこうと、日本が9条を改正しようが何をしようが、常任理事国入りは永久にあり得ません)
この考えは、今まで繰り返し藤井さんにも申し上げてきましたし、先日「まる激」に出演していただいた岡田さんにもお伝えしてきていますが、「憲法改正+安保理決議=海外武力行使可能」というスキームが岡田さんの口から米国に公式に伝えられたことは、小泉流の米国「ケツ舐め」政治を脱却するための橋頭堡として重要です。相変わらず馬鹿マスコミは報じていませんが。
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もちろん、誤解を塞ぐべき言うと、マルチラテラルな合意が、内容的に正当であるとは限りません。しかし政治において重要なのは正当性(内容的な正しさ)よりも正統性(自発的服従契機の存在)です。むろん正統性は正当性を含みうるので、マルチラテラルな合意が内容的に正しいものとなるように、日本政府自身が渾身の努力をしなければなりません。
その意味で、米国「ケツ舐め」政治も、安保理「ケツ舐め」政治も、思考停止という点で同断です。逆に言うと、形は米国追従に見えても米国内の決定にリモコン的に影響力を行使できれば実質的には米国「ケツ舐め」政治にならない(このことを私に教えてくださったのが故佐藤誠三郎先生)のと同じく、安保理の決定に影響力を行使できれば安保理「ケツ舐め」になりません。
私が政治家や役人を相手にロビイするようになったのは97年からですが、ようやく与党や野党第一党の幹部の人たちと突っ込んだ話ができるようになってきました。いったい日本の政治学者にそのようなことをする人がどれだけいるでしょうか。何人かは知っていますが、数えるほどです。私自身は、政治を語る以上は、単なる口舌の徒に終わらぬよう、今後も努力する所存です。
第175回 [7月30日収録]
タイトル 「新しい国防政策のすすめ」
ゲスト 久間章生 自民党幹事長代理
日本の安全保障政策が大きな岐路に差し掛かっている。今週発表された新防衛計画大綱のたたき台には、戦後日本が長年国是としてきた武器輸出3原則の見直しが盛り込まれた。また、アーミテージ米国務副長官の、憲法9条が「日米同盟関係の妨げ」とする発言の波紋も広がっている。かつて防衛庁長官を務めたこともある久間章生衆院議員は、こうした日本の防衛政策をめぐる環境の変化は、冷戦体制からテロの時代への変化に対応する「ごく自然な流れ」と見る。また、民主党の岡田代表が、「憲法改正と国連安保理決議があれば、海外での武力行使が可能」と発言したことについて、かつて自民党にいた岡田代表や藤井幹事長、小沢一郎氏などと防衛に関する考え方は「ほとんど一緒」との認識を示した。日本の防衛政策はどこに向かっているのか、日本の軍事力のあり方について考えてみた。
<プレビューはこちらをクリックしてください>
http://www.videonews.com/asx/marugeki_pre.asx
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あと、過去4回分の「まる激」の内容紹介を、以下に貼り付けておきます。どれもメチャクチャ面白いと思いますので、よろしくお願いします。
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第174回 [7月26日収録]
タイトル 「言葉を失わないためにできること」
ゲスト: ゲスト:森達也氏 (映画監督)
被害者の感情や「道徳」などを理由に、特定の表現を社会全体の規制に結びつ
けようとする「言葉狩り」が横行し、それが言論の萎縮を生んでいる。放送禁止
用語やタブーを設けることが、本当により良い社会を作ることにつながるのか。
これは戦前の言論統制とどう違うのか。なぜ差別表現は生まれるのか。オウム信
者を扱ったドキュメンタリー映画「A」「A2」でタブーに挑んだ森達也監督と
共に、言論統制と思考停止の先に私たちを待つ社会がどのようなものになるのか
を考えた。他、海外取材中の神保哲生氏によるアメリカの狂牛病問題の最新報告
など。
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第173回 [7月18日収録]
タイトル 「私たちは少年犯罪とどう向き合えばいいのか 」
ゲスト: ゲスト:藤井誠二氏 (ノンフィクションライター)
長崎男児誘拐殺害事件や佐世保小6女児殺害事件など、子供が加害者になる事
件が相次いでいる。長年にわたり少年犯罪を取材してきた藤井誠二氏は、子供た
ちにとって人を殺すことの意味が変わってきているとの見方を示し、倫理教育だ
けではこれに対応しきれないと主張する。ネット時代のコミュニケーションが子
供たちにどのような影響を与えているのか、また、社会は少年犯罪とどう付きあ
うべきかなどを、考えてみた。
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第172回 [7月12日収録]
タイトル 「この参院選でわたしたちは何を選択したか」
ゲスト:山口二郎氏 (北海道大学教授・政治学)
小泉政権3年間の実績を問う参院選で、自民党が議席を減らし民主党が躍進し
た。無党派層が民主党支持に回ったことが大きな要因だが、同時に自民党の伝統
的支持組織の集票力の凋落ぶりも目立った。果たして政治の流れは自民党から民
主党へと移っているのか。それとも民主党は単に社民・共産の支持層を侵食して
いるだけなのか。一方、創価学会への依存度が更に高まったことで、小泉政権の
政権運営はどう影響を受けるのか。新たな政治状況の中で、われわれはどの政党
の何に注目すべきなのかを、北海道大学の山口二郎教授と共に考えた。
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第171回 [7月2日収録]
タイトル 「イメージ選挙に踊らされないために」
ゲスト 川上和久氏 (明治学院大学教授・政治心理学)
今回の参議院選では、候補者や政党の名前を連呼して町中を街宣車が走り回る
従来型の選挙活動が下火になりつつある一方で、主要政党は従来型の選挙からテ
レビやイメージポスターを活用したメディア選挙へと、その戦略をシフトしつつ
あるようだ。
主要政党の中でメディアの活用を有効に行っているところはどこか。各党のメ
ディア戦略から透けて見えるその理念とは。
政治とメディアの関わりが専門の川上教授とともに、各党のテレビCMや選挙
用ポスターを検証した上で、メディア選挙に踊らされないために有権者が心して
かかるべきポイントとは何かなどを考えた。
また、インターネットに掲載されたマッドアマノ氏のパロディに自民党が噛み
ついた問題を取り上げた。
たいへんお待たせいたしました。やっと上梓されます。一部の書店などでは数日前から見本が売られるでしょう。
密度が濃い本なので、ゆっくりお読みいただければと思います。
あと、本書に収録された『ダ・ヴィンチ』誌上の連載「オン・ザ・ブリッジ」は今でも連載中です。
本書には41回まで収録されていますが、連載のほうは52回まで進んでいます。本書と同じ8月6日に、9月号が発売されます。
9月号では、私が全作を観ている(と思う)フランソワ・オゾン監督の『スイミング・プール』と桐野夏生作の小説『グロテスク』とを絡めて論じています。あ、何が言いたいか分かったぞ、というアナタは、かなりの女たらしでしょう。