【大竹メインディッシュ】なぜ日本は確実に終わるのか?|2019.12.11[コロナ前]
【大竹メインディッシュ】なぜ日本は確実に終わるのか?
大竹まことゴールデンラジオ!|文化放送|2019.12.11放送
大竹まことさん:タレント
壇蜜さん :タレント
宮台真司 :社会学者/東京都立大学教授
(文字起こし :立石絢佳 Twitter:@ayaka_tateeshi)
※若干の語句の変更と補いがあります
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▶深刻な劣等感をもつ人間が染まりがちな「鍋パーティー問題」とは?
壇蜜: 続いては「大竹メインディッシュ」です。こちらはポッドキャストでも配信していますので是非チェックしてくださいね。
本日のお客様を紹介します。首都大学東京[現・東京都立大学]の教授を務められています、社会学者・宮台真司さんです。2ヶ月ぶり、お願いします。
宮台真司(以下、宮台): はい、こんにちは。もう見放されたと思いました。
大竹まこと(以下、大竹): いやいや、そんなことは(笑)。
壇蜜: お久しぶり感が。
大竹: いやお久しぶりって言ったって2ヶ月は早いよ!
壇蜜: 早いですね。サイクルが。
大竹: 全然早いです。6年ぶりって人がたくさんいるんだから。
壇蜜: そうですね、十何年ぶりとかね。
宮台: ははは(笑)。
大竹: さて、いろんなことをお聞きしたいと思っております。
壇蜜: 桜[桜を見る会]、聞いちゃう~!?
宮台: ふふふ(笑)。
大竹: お前、そういうノリかよ、桜聞くときに(笑)。
壇蜜: だって毎日のように報道されてるんですもの。
大竹: まあね、毎日のように新しいこともわかってくるし。テレビ見てると、なんかコントみたいにも見えるし。どうなんですかね、宮台さん。
宮台: これはね、国民の自画像だと思いますね。
大竹: 自画像……!
壇蜜: 桜問題が?
宮台: そうですね。キーワードはやっぱり「劣等感」なんですね。安倍晋三さんって、僕は小学校の同級生を何人か取材したこともあるけれど、劣等感の塊ですよね。単に成績が悪かったっていうだけではなくてね、一族がピカピカだからですよ、学歴的にもね。
壇蜜: 華麗なる。
宮台: そうですね。そういう家系で成績が悪かった場合に、どれほど劣等感を刻まれるのかって、思い半ばに過ぎますよね。僕も父親と爺ちゃんと叔父さんが東大だし、そういうプレッシャーって結構早い頃から感じるものなんですよね。
劣等感って誰にでもあるものです。それを克服するかどうかでマトモな大人になれるかどうかが決まるんだと思うけど、安倍さんは劣等感むき出しで子供のままなんですよ。マトモな大人じゃないので劣等感に由来する「ポジション取りをしよう」という浅ましさばかりが目立って、国民のことを考えるマインドが全く感じられないんですね。
僕はよく「鍋パーティー問題」と言うんですが、そうした、孤独で劣等感にかられている人間って、最初に鍋パーティーを食わせてくれる人間たちのイデオロギーに、面白いほどとんどん染まるって事実があるんですよ。
壇蜜: 最初に鍋パーティー……?
宮台: そうです。1970年代の学生時代から言ってきた「鍋パーティ問題」。たとえば東大でもそうでした。地方から出てきて、自分は優等生だと思ったら、たとえば東京の私立高出身のやつらは楽器もプロ級だったり、スポーツもバリバリだったり、ナンパもしたい放題だったりする。すると劣等感にかられ、ポツンと孤独になっちゃう。
すると、そこに鍋パーティーに誘うヤツが出てくるんです。それがセクトだったりカルトだったりするんですね。半年もすると、あたかも昔からそのセクトやカルトのメンバーであったかのように堂々と振る舞いはじめるわけ。劣等感が埋め合わされたんですね。93年以降の安倍さんがそうだったでしょ。それまでノンポリだったのに、日本会議の前身に当たる団体の人間たちに厚遇されて染まったんです。絵に描いたようですね。
あと、首相官邸に集っている「クズ官僚」たちも同じです。従来の省庁の出世レースの中では1位と2位にしか意味がありません。だから入省順位が低い連中などはハナから劣等感の塊です。僕は進学校出身だからよく分かるけど、入省順位が1位や2位じゃなくて5位っていうだけで決定的な劣等感につながるんですよ。ピカピカの東大出身のキャリア官僚なんだから充分じゃんとシロウトは思うかもしれませんけどね(笑)。そういう劣等感に打ちひしがれがちな下級レベルのキャリア官僚を、官邸官僚に引き立てるでしょ? すると、劣等感ゆえのポジション取りのために、政治家のケツを、クソがついていても舐めるようになるわけですね。
すると、面白いことに、それだけじゃ留まらなくなるんです。省庁内に病巣が拡大するんですね。官僚制ってそういうものなんですが、元の省庁で席次が上だった官僚たちも「なにクソ、この野郎」って思っちゃうのね。自分よりも能力も道徳性もずっと劣るクズが、取り立てられて威張っているのを見ると、従来「自分には公共的な関心もあるし、実力もある」と思っていた上級レベルの官僚たちまで、「クズにやられてたまるか」ってことで、クズ化競争に参加するんです。そうやって「病巣が拡がる」わけです。
大竹: あのー、内閣人事局みたいなものがそうなると、あってもなくても関係ないですか?
宮台: 「官僚とはもともと序列の動物だ」っていう意味では関係ないんですけど、内閣人事局がまさに「序列の動物であるところから来る劣等感につけこんだ人事を可能にしている」っていう意味では関係しています。というのは、かつて省庁人事は、省庁の中で完結していたからですよね。
大竹: そうですよね。だからこそ、政府の立場が対等というか、力を持っていたというか。
宮台: そうです。たとえば、菅さんも、霞が関官僚に比べれば圧倒的に学歴が低いでしょ? 官房長官という政府と省庁全体のパイプ役の仕事を通じて、劣等感を抱えてきたに違いないんです。自分が劣等感の塊だからこそ、劣等感を抱えた人間をどうすれば利用できるかを、よく知っていると思うんですよ。劣等感で釣る仕方をね。僕に言わせると「究極のクズが、至高のクズを選んで、官邸官僚を組織している」っていう形ですね(笑)。
▶劣等感がある人間は自身の免罪のために「言葉の自動機械」になる
大竹: 冒頭でも話したんだけど、同じ土俵だと思っていたのが、今回の反社勢力のことに関しても、なんかこう、リングの形が変わっちゃってるじゃないですか。
宮台: それね、特殊なことじゃないんですよ。右か左かってのも、フェミニストかどうかってのも、全部リングの形が変わっちゃってるわけ。僕が言う「ウヨ豚」や「糞フェミ」を見てくださいよ。劣等感や不全感を抱いて自分を責めてきたような人たちって、多くが、不安を埋め合わせるために脊髄反射的な「言葉の自動機械」や「法の奴隷」になったり、ポジション取りの「損得マシン」になって、「そうだ! 自分のせいじゃない! あいつらのせいなんだ!」と外部帰属化するわけです。
日本人の友達すらほとんどいないくせに「日本すげえ!」と叫ぶのも、恥ずかしいほど滑稽だし、数少ない個人的な不幸の経験から「男は全て敵だ!」とか叫ぶのも、恥ずかしいほど滑稽でしょ? そういうのを見るにつけ、僕は、この人たちと「自分は不幸だ!」とワメいてるだけで、言葉自体には何の意味はないなぁと思うんですね。でも、当人たちは、その恥ずかしさを理解していないわけよ。同じ穴のむじなが、ネットでつながっているだけの話で、おかしいぞって言ってくれる友達がいない寂しい人たちなんですね。
壇蜜: 「騒ぐ」と「劣等感」って、少し補填というか、補正されるんですか?
宮台: そうなんです。
大竹: 発散するってこと?
宮台: そう、気持ちが軽くなるんですよ。「言葉の自動機械」が一番分かりやすいでしょう? たとえば、ウヨ豚は「日本人」とか「中国人」とか「韓国人」とかっていうカテゴリーに脊髄反射しちゃう。日本人の友達も少ないぐらいだから、中国人にも韓国人の友達も当然いないわけよ。だから、何も知らないくせに、インターネットで「見たい情報だけ見て」、言葉の上っ面にだけ反応するんですね。「言葉の自動機械」という意味で、神経症なんですね。糞フェミもそうです。ちょっとしか男経験しかないくせに「男は敵だぁ!」って具合に、哀れにも「男」ってカテゴリーに脊髄反射しちゃう。ウヨ豚の「中国人は敵だぁ!」とかと寸分たがわず同じです。
でも、実際には、中国人の知り合いがいるわけでもないし、男経験が豊かであるわけでもないんですよ。むしろ、逆に、「自分には人間関係が乏しい、寂しいヤツだ」ってことを、無自覚にカミングアウトしちゃってる。不安を言葉で埋め合わせているだけの「言葉の自動機械」っていう神経症の症状を呈しているだけなのに、自分ではイデオロギー=価値を語っているかのように思い込んじゃうわけよ。こういうのを僕は「クズ」と呼ぶけれど、みなさんは、ゆめゆめ「人間扱い」をしないことをお勧めします。
大竹: 中国の人も韓国の人も知らないのに、その総体として、全部をひと括りで見ちゃう。
宮台: そう。「男はこうだぁ!」とか、逆に「女はこうだぁ!」とか。
壇蜜: それはすごく、スッキリするんですか?
宮台: それでスッキリするのが「感情が劣化したクズ」ということなんですよ。要は「自分がいけないんだ」「自分がまずいんだ」っていう劣等感を感じないで済むからですよね。「自分は悪くない! こいつらが悪いんだぁ!」って叫べるから、スッキリするわけですよ。分かるでしょ?
壇蜜: あ~、「だから自分はしょうがないんだ!」みたいな?
宮台: そう。男運がすごく悪くて、ソクバッキーやデートDVとか苦しんできたとしましょう。本人が悪い面もあるに決まってる。だって見る目がないんだからさ(笑)。でも、その「見る目のなさ」を、自分で引き受けるってのはつらいんです。「ヘタレ」だからですね。それで、「男がそもそも敵なんだ!」って考えることで、自分を免罪して、問題が処理したがるわけよ。ほんとは何も処理していないんだけど、クズには分からない。
壇蜜: 楽になっちゃうんですね。
宮台: そう。「ウヨ豚」も全く同じなんです。自分の劣等感、たとえば没落感とか将来不安とか劣等感といった諸々の不安を、「こいつらのせいだ!」「あいつらのせいだ!」って外部帰属化することで、自分を免罪し、問題の処理したつもりになる。クズですね。
大竹: それは論理的に突き詰めずにっていう意味ですよね?
宮台: そう。問題の全体を見渡せないという意味で「頭が悪い」んだけど、それだけじゃなく、無関係な人たちに粘着するっていう意味で「性格も悪い」んですよ。そして、この種のクズが、実は「ポスト・トゥルース/ポスト真実」って呼ばれる昨今の流れにつながっているんですね。アメリカのオルトライトでも、ドイツのネオナチ集団やフランスの国民戦線の賛同者たちでも、全く同じことが起こっています。ってことは、背景に共通のメカニズムがあるってこと。「あまりにも共通しすぎてる」ってのも、僕が「言葉の自動機械」って呼ぶ理由の一つです。まぁ、顔をみればだいたい同じです。フワーとした柔らかいオーラがなくて、ガチガチにこわばってるわけ。これは神経症の印にもなりますね。
▶「言葉の自動機械」になった弱者は自由自在にコントロールされる
壇蜜: どうしたらその劣等感をうまく操縦できるようになるんでしょう?
宮台: ふふふふふ(笑)。
大竹: それは日本だけじゃないよね? アメリカでもそうだし、ヨーロッパのある国でもそうなっているって……。
壇蜜: 世界中で起きてますね。みんな自分を飼いならせないんですね?
宮台: そうです。
大竹: しかも選りすぐられてるな、と思われている人たちは、格差の問題に目もくれずに国を進めていきますよね?
宮台: 昔から知られている面白い現象です。格差の問題って、近代社会では条件次第では劣等感に結びつきがちなんです。格差があるなら、下層に追いやられた人たちで連帯して戦えばいいじゃんね? 昔はそうした組合運動とか階級運動が定番だったんですが、今はダメ。なぜか。共同体が空洞化しちゃってるからです。だから、共通前提を互いに当てにできないんです。だから連帯できません。少し説明しましょうか。
共通前提を互いに当てにできた頃は、自分が困っていたら、それを表に出せば──表に出さなくたって──誰かが助けくくれると思えたし、実際に助けて貰えたでしょ? でも、共同体が空洞化すると、自分が下層だってことで、馬鹿にされるんじゃないかと思い込むわけですよ。だから、自分が下層だって認めたくなくなるんですね。これは戦間期に実例があります。もともと貧乏だった人じゃなく、もっぱら没落中間層が、自分がダメだって認めたくなくて、劣等感の埋め合わせようとして「強く大きなもの」にすがったという事実があります。「ドイツすげえ」ってね(笑)。そこからナチズムが出てきたっていうのが、実証データから分かることです。
壇蜜: へえ~。格差を認めない……。
宮台: そう。たとえば、日本はかなり早い段階から教育格差があるでしょう? でも、そのことを、多くの人は自分が不利益を被っているのに、認めたがらないんですよ。初期状態の格差によって「将来の社会的地位はせいぜいここまでしかいけない」ってことが決まってしまうんだけど、そのことを認めるのってつらいじゃないですか。だから、「見たくない現実を見ない」わけよ。それを、ジョック・ヤング[イギリスの社会学者]って人が「過剰包摂」──「疑似包摂」のほうが正しい翻訳だけれど──って言っています。
たとえば、スターバックスに行くでしょ? すると年収1~2億円のIT長者も、年収200~300万のフリーターも、見掛けでは区別がつきません。でも、昔は違ったんですよね。地方出身者には、田舎臭い雰囲気や、言葉に訛りがあったりしてね。ホワイトカラーかブルーカラーかっていうのも、見た目ですぐに分かっちゃいました。日焼けしているかどうか、髪がさらさらかどうか、みたいなことでね。でも、今は、どの先進国でもそれが判らないですよね。だからこそ、「自分はみんなと同じだ」っていうふうに思いたいヘタレは、そう思えるわけです。だから弱者が連帯できないんです。簡単でしょ?
ってことは、強者からみれば、格差を放置できるし、弱者が連帯して噴き上がらないように自由自在にコントロールできるってことですよ。このコントロールは、リソースがあれば簡単です。ビッグデータとディープラーニング[機械学習]を使うんですね。「言葉の自動機械」になった人間って、どんな「感情の押しボタン」を押すと、どんなふうに行動するのかってことが、統計的な蓋然性としてかなり正確に予想できるんですね。だから、その通りにボタンを押していくと、実際に全体を簡単にコントロールができちゃう。
だから、昨今の民主政は、相手の話を聞いて、自分のことを話して、互いに話し合って合意点を見つける、っていう仕組みではなくなっちゃってるわけ。リソースを総動員した「言葉の自動機械」の操縦競争になっちゃったんですよ。その意味で、民主政はすでに、国家規模では終わりつつあるというふうに断言していいでしょう。今のIT化の流れが続く限り、感情的劣化がますます進みこそすれ、国家規模で感情的劣化からの回復があるなんてことは、到底望めないからですよ。
大竹: 民主的なこと自体も、議論を交わしたりすることも、ハナから「無」に近いことに。
宮台: 全くそう。フランス革命の少し前に、ジャン・ジャック・ルソー[フランスの哲学者]が言ったように、民主政がマトモに機能するには、規模を小さくする必要があるんですね。具体的には、ルソーは2万人以下でしか民主政は成り立たないと見ました。2万人以下だったら、顔がだいたい覚えられるし、名前にも覚えがあるでしょ? 昨今のネットワーク理論で言えば、「知り合いの知り合い」というレベルで全体につながれるわけです。そんな感じだと、ある政治的な決定がなされた時、その決定によって、それぞれの人がどんな目にあうのかって「想像できる」し、それだけじゃなくて「気にかかる」でしょ?
それをルソーは「ピティエpitié」って言います。「全員に対するピティエを、全員が抱く場合にだけ、民主政はうまく行く」ってのが「ルソーの定理」ですね。逆に、直接民主制が不可能なくらいの大規模になってしまうと、全然顔が見えないし、ピティエも小範囲に限られる。そのぶん、人は「言葉の自動機械・法の奴隷・損得マシーン」になりやすい。すると動員合戦になって、リソースを持つ者だけが勝つ。だからルソーは、ジョン・ロック[イギリスの哲学者]が推奨していた代議制を、徹底的にコケにしていたんですね。
壇蜜: 誰かがどっかで、傷ついているとか酷い目にあっているのが想像できないから、こんなことになっちゃっている?
宮台: そう。他者の痛みに寄り添えないんです。そうした昨今の現実を見ると、ロックよりもルソーのほうが正しかったことが分かるでしょ? 顔が見えなくなって、ピティエが働かなくなると、人は「中国人だから」とか「在日だから」とか、カテゴリーで塗り込めて人を理解するようにりがちなの。「中国人だから」とか「男だから」ってだけで説明した気になっちゃうの。何も知らないクズのくせにね。
ってことは、これからはどこの国でも、民主政を立て直すことができるとすれば、スモールユニット、つまり小さな自治単位を再構成して、それで国全体を覆える場合だけ、ということになります。でも、かなりの国では、残念だけれども、スモールユニットの再建はごく少数に留まって、マクロつまり全体には至らないでしょう。特に日本はそうですね。
大竹: そうですよね。
宮台: だから、この間も申し上げましたけど、「社会という荒野を仲間と生きる」っていう、僕が10年前の震災時から提唱してきた「風の谷」戦略だけが、重要になるわけです。でも、その結果、「風の谷」戦略を貫徹できるユニットと、全然できないユニットとが、どんどん分岐していくでしょうね。特に、日本では百パーセントそうなるでしょう。
大竹: でも~……仲間作ろうとして、できるかって……。
壇蜜: 困っている人たちが集えないっていうのが、いま一番怖いですよね。みんな「俺は違うんだ」とか「私は違うのよ」って。
大竹: そう言い合っているわけだから、そうすると、小さな仲間を集うってこと自体が、とっても難しい。
宮台: そうです。だから、さっき言ったウヨ豚や糞フェミだけじゃなくいんです。クズ化、つまり「言葉の自動機械・法の奴隷・損得マシーン」化の現象が、共同体から見放された大人たちの間で、どんどん拡大していますよね。それこそが、「劣等感を抱く人間が、劣等感を抱く人をコントロールすることで、自分の劣等感を埋め合わせようとする」という浅ましくさもしい営みが、とりわけ日本でどんどん拡大してきている理由です。
壇蜜: いじめとかパワハラみたいな……。
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▶劣等感にかられた極めつけのクズ男にしないためには『外遊び』が絶対に必要
宮台: あと、典型的には、性愛からの退却ですよね。たとえば、大学生女子でいうと、ピークだった20年ほど前に比べると、性愛経験率が6割代後半だったのが、3割代後半に、ほぼ半減しているんですよよ。
壇蜜: そんなところにまで……(笑)。
宮台: そうです。その女たちをリサーチすると、たとえば、恋愛映画のポストトークをする場合、お客さんの8~9割が女なんですけれど、すごく魅力的な人たちばかりなのに、だいたい彼氏がいないんですね。で、「なんでいないの? わざと作らないの?」って聞くと、「いや、いろいろやってきたんだけど、男がクズすぎて、諦めました」って言う女だらけなのね(笑)。同じことを男に聞いてきました。男も、大学生は性愛経験率3割後半。ピーク時は6割くらいでしたけれどもね。
壇蜜: 半分だ。
宮台: 半分ですね。「なんで恋愛しないの?」って聞くと、「いやあ~、先が読めないじゃないですか~」「リスクマネジメントできないじゃないですか~」「コストパフォーマンス悪いじゃないですか~」って。最初は耳を疑いました。恋愛って「言外、法外、計算外」だから価値があるはずなのにねえ。本当に、極めつけのクズなんですよ。「言葉の自動機械・法の奴隷・損得マシーン」という意味でね。
壇蜜: もうダメだ! 日本が滅ぶ(笑)!
宮台: いや、そうは思ってなくてね(笑)。だからこそ、『恋愛ワークショップ』というのを震災後にやってたんですよ。今はまだ女は大丈夫なんだけど、男がダメすぎるので、途中でやめちゃったけれど……。
壇蜜: 何がダメなんですか?
宮台: 僕が言うことは言葉では分かるけど、感覚では分からないって言うんです。たとえば「相手になりきれ」って言うでしょ? 相手がどういうふうに、世界を、自分を、体験してくれているのかを、徹底的に「なりきって」モニターしないと、マトモなセックスだって出来ないぞ、と。すると、「なりきる」っていうのが、やったことがないので分かりませんって言うわけよ。
20歳代の男の大半がそうなんですね。女の体験が参照点になっていないわけ。としたら、何が参照点なのかっていうと、たとえばAV=アダルト動画ですね。アダルト動画のアレができたとか、コレができたとか……。つまり、アダルト動画と同じように女を扱えたかということ、つまり「コントロールをコンプリートすること」が、目標になっちゃってるんですよ。最悪でしょ?
壇蜜: 携帯ゲームしすぎですかね……?
宮台: あー、それは絶対ありますね。時間があっても、今どきの子供は外遊びしないでしょ? 学校か、塾か、ゲームか、です。これでは無理でしょう(笑)。っていうのは、みんなで虫取りとかトカゲ取りとか、共同で身体行動することで、初めて「言外のシンクロ能力」が身につくからですよ。ってわけで、クズ男が増殖している理由は、生活環境にあるから、親を何とかしなきゃってこと。今やってるのは『親業ワークショップ』です。
壇蜜: 親のためのワークショップ。
宮台: はい。親が、自分よりも優れた感情的能力を持った子を育てなければ、感情的能力の縮小再生産で、セックスすら出来なくなちゃって、少子化対策をしようが何をしようが、社会は終わるんですね。[幼稚園の男親の会でも、よく50歳代になっても子供がぽんぽん出来ますねって訊かれたけど、避妊しなければ妊娠しますけどって答えると、いやぁセックスしたいっていう気持ちがスゴイですねぇ、みたいな感じです]
大竹: あのー、アレですよね。おっぱい触るんでも、女によってちゃんと強さが違うってことがわかんないとね。
宮台: そうなんです。硬さによって強さを変えないとね。でも、そのためには女の目をみないと。なのに、今どきの男は、目を見てセックスしないんですょ。風俗の子たちに聞くと、客が目を見てくれないから心が寂しくなるって言うのね。本当にそうなっているんだと思うよ。でも、目を見なければ、女の子がどういう状態なのかって分からないでしょ? 女から男を見る場合もそうね。結局、目を見ないで、自分の世界に入って、自分がやりたいことをやるっていうのが、いまのクズ男と、それに適応したクズ女なの。これがメジャー(多数)なんだけど、というか大半なんですね。
たとえば、僕が小さい頃ね、いや、中学生だったけれど(笑)、男の挿入時間についての国際統計が週刊誌に出ていたんだけれど、当時23分だったんですね。今はそういう統計がないんだけれど、風俗とかAVで働いている子たちに聞くと、「15分プラスアルファくらいじゃない? 20分はちょっと無理じゃないの?」って言います。
壇蜜: へえ~、短くなってる。
宮台: そうですね。
大竹: まあそういう統計、あんまり出されたくないんだけども(笑)。
壇蜜: しょんぼりしちゃうから(笑)。
宮台: 週刊誌を読んだ僕は、すぐに家にあった「家庭医学大辞典」を調べたんだけど(笑)、男の高まりのカーブに比べると、女のカーブはゆっくりなので、女に合わせなければ、ピークでシンクロすることができないって書いてありました。当たり前ですね。[それで高校時代の僕は、金冷法や、スリコギ法(スリコギで陰茎を叩きまくる)の修行をして、射精のタイミングを完全にコントロールできるようにしたんです。それはともかく]今は、男が女をモニターしません。目を見ないんだもん。ってことは、女に合わせてペースをコントロールしようという意欲さえないわけよ。だから、女の喘ぎ声だけを頼りに、自分だけイッて終わり。女は当然ながら不全感にかられちゃう。
大竹: そうだねえ。そこがダメなんだよね。やっぱしアレだよ、サドはマゾの言うことを聞くしかないってことだね。
壇蜜: そうですね、サービスと満足ですね。
宮台: その通りです。さて、サド・マゾについて言うと、本当はマゾが全てをコントロールしているんですね。そのことは『マゾ・バイブル』っていう対談本で喋っています。
大竹: マゾに握られている中にしかサドは存在できないのに、サドが個として存在するっていう、大きな考え違いを。
壇蜜: はい。
宮台: そうです。
大竹: みんな納得してる?
宮台: さすが大竹さんですね~! この話は非常に高度なので、リスナーが聞いてすぐにわかるとは思わないよ(笑)。でも、サドがマゾの掌の上にあるのを理解できないと、男のセックスが女のセックスの掌の上にあることを理解できないんですよね。
大竹: 壇蜜はすぐにわかりすぎるんだけど(笑)。
壇蜜: サービスして満足してもらうんです!
大竹: な、そうしないとな。マゾの誘導にのっているだけだもんな、サドはな。
宮台: だから、喘ぎ声もサービスであることが多いんです。それが分からない男が増えちゃったのが問題ですよ。さて、ここからが本題です。
劣等感にかられた人間って、全てをコントロールしたがるんですよね。でも、恋愛・性愛、あるいは本当に親しい友人関係も、本当は、コントロールじゃなくてフュージョンでしょう? フェチじゃなくてダイヴだ、とも言えます。相手と溶け合うことがポイントがあるわけ。だから絶えず相手の感覚に「なりきる」ことが大事なんです。「観察して判断する」んじゃない。実際に「なりきる」。相手が感じていたら、それがダイレクトに自分の快感になるような感覚の回路を、作っておく必要があります。そのためには、特に男の子について言うと、絶対に「外遊び」が必要なんです。僕は「共同身体性」って言うけれど、群れとしてつながって外遊びすることで、相手の喜びが自分の喜び、相手の苦痛が自分の苦しみ、っていう感情の回路ができるんですね。
大竹: 絶対ですよね!
宮台: 絶対です。
大竹: 社会の構造がどうなっているかはちょっと別にして、置いといて。
壇蜜: 危ないとかそういうのは一旦、置いといて。
大竹: そりゃね、あるけど。たくさん危なさはあるけれども。
宮台: 親が虫嫌いとかさ、蛇嫌いとか、トカゲ嫌いとかばっかりじゃん。だったら俺に預けろよ、と。虫になりきれば、怖くないんですよ。人間ってのは、遺伝子的には、虫にも爬虫類にもなりきれる可能性があるって話を、前にしたでしょ? なので、「その感じ」を親が与えられないんだったら、他所のおじさん=ウンコのおじさんに預けろと。それしかないんですね。
大竹: そうするとやっぱりさっきの話のところに結びつく。その他所のおじさんは、仲間じゃなくちゃいけない。でも他所のおじさんを仲間にするのには、親の自意識の高さから、相手との差別化をはかってしまうっていう。
壇蜜: プライドが邪魔して、片付けられない。
▶日本はあっという間に三等国になる
大竹: だから、さっき言った組合ができない分断に社会がなっていっちゃうと。前回お話したときに、日本はオリンピックが終わってダメになるっておっしゃいましたけど、ダメんなり方、どんなふうにダメになる……。
壇蜜: え、あと8ヶ月でダメになる。
宮台: [この放送はオリンピック延期決定の2ヶ月前。]まず、単純なことだけど、過剰投資を回収できなくなるので、どこの国でもオリンピック後は必ず不況になります。前の東京オリンピックの翌年1965年にも、ご多分に漏れず不況に陥ったんだけれど、当時は13~14%の成長率があったので、皆はすぐに忘れることができたんですね。日本は、この間も申し上げたように、先進国の中では最も生産性が低くて、1人当たりのGDPはアメリカの3分の2しかない。しかも最低賃金は、先進国の高いところは1600円だけれども、日本は地方にいけば軒並み800円。なんと半分なんですよ。
他にも、もろもろの経済データが日本の終わりを示しています。たとえば、特許の数もそう。5Gの特許は、中国が日本の7倍、アメリカが日本の4倍、韓国が日本の3倍です。だから、次世代技術のプラットフォームには、日本の企業は全く参加できていない。次世代どころか、いま海外の都市に行っても、日本企業の広告はほとんどなくて、だいたいサムソンか、ファーウェイか、LGでしょ?
壇蜜: 出遅れた。
宮台: 過去の技術でとっくに抜かれ、かつ、未来の技術でも出遅れたんです。だから、日本は、オリンピックのあとに必ず急降下しますが、そのあと、前の東京オリンピックみたいには回復できない状態に陥ります。
壇蜜: 一過性のものじゃないってことですか。
宮台: はい。なので、あっという間に三等国になります。お金がないからね。
大竹: そこがダメになってくるってことは、もう一つその次は、公共事業もダメになって、公共サービス、バス、トラック、都電……。
壇蜜: 都電!
大竹: まあ種類はわかんないけど(笑)。そういうのもダメになりますね。
宮台: ダメになりますね。
大竹: 生産性のあがらないところは、赤字になるわけだから。
宮台: 国債をばんばん発行しても財政破綻は起こらないっていう反緊縮のMMT理論が論争になってるけれど、財政破綻が起こらなくても国民1人1人がどんどん貧しくなっていくから、税金で成り立つ国家財政も細って、インフラに金かけられなくなります。税金の裏付けがなく、勝手に発行した紙幣によって成り立つ国家財政って、信用されないんで通貨安になって、外国から買う資源もエネルギーも食料も製品もバカ高くなります。
加えて、子供の義務教育費を見れば絶望的な状況です。1970年代前半の田中角栄の時代には、日本は先進国で一番高い部類だったんですが、今は先進国標準の半分かそれ以下でしょ?
大竹: 25番以下になっていましたね、確か。
宮台: よく御存じで。なので、義務教育費がこれだけ低くなれば……。
大竹: 教育にも金かけない!
宮台: 国民にも国にもお金がないので。
壇蜜: 教育にお金かけないって、えっ!?
宮台: だから人材が育ちません。
大竹: まあでも今までもかけてないんだよ。
壇蜜: あんまりかけてないのか。
大竹: かけてないから、親が一生懸命かけてたんだけど。
宮台: その通り。親が埋め合わせてるから、そのぶん貧乏になって、購買力が下がっちゃうわけ。日本が成長できないのは、生産性が低いからです。生産性が低いのは、産業構造改革ができないからです。産業構造改革ができないのは、既得権益の中でのポジション取りに勤しむクズばっかりいるからです。
ってことは、アメリカやヨーロッパのようなプラットフォーマーがこれからも出てきません。プラットフォーマーって新しいプラットフォームを作って市場を独占する人や会社のことです。GAFAとか、アメリカではFANGAって言うけれど、日本には一つもないでしょ? これも、一つは、金をかけない「教育の失敗」で、もう一つは、新規プラットフォームが会社の既存事業を危うくするので力を入れないってのに象徴される「既得権益へのへばりつき」です
壇蜜: どうするんですか? 脳が弱くなっちゃうじゃないですか。
宮台: 脳があっても、ポジション取りのためにだけ使うわけよ。でもプラットフォーマーって、みんな冒険家でしょ? 今までの競争のゲームの外側で、新しいものを作って独占しようとするわけ。日本ではそういう人が出てこないでしょ? 性愛がリスキーだからって避けるようなクズ男やクズ女が、既得権益の構造の外で冒険すると思いますか? あり得ないよねー。だから「終了」なんですよ。
壇蜜: よし、逃げよう! 3人で逃げよう!
宮台: ははは(笑)。
大竹: ていうか、まあセックスの話に、全部置き換えられる。社会全体がそれと同じことになっているっておっしゃっている。
宮台: そうです、全て同じです。ナンパの現場も同じです。昔ナンパは目が合うところから始まりました。今は全力で視線を避けます。だから結果的に、斜め後ろから声かけちゃうわけです。だから女にとっては「なんだコイツ」ってなるでしょう?
壇蜜: 不審者(笑)。
宮台: ですよね。僕は「性愛講座」と銘打ったワークショップをやっていたこともあるけれど、男があまりにもクズ化していて、もう治せないなっていうふうに思ったので、やめたんですよね。
大竹: もしするならね、何度もナンパ失敗して、1回成功したら成功なんだよね。それを、何度も失敗していちいち傷ついているからダメなんだよな。もうちょっと、傷つき方が違うんだよな。
壇蜜: あと幼少期にお時間のある方は私が蛇にネズミをあげるところをしっかりお見せしますので、ぜひお立ち寄りください。
宮台: 蛇になりきれば、蛇にとってのネズミが、僕らにとってのハンバーグだってことが分かります(笑)。[ヴィヴェイロス・デ・カストロという人類学者の言葉をもじったものです]。
大竹: なるほど~! ただ自分がネズミになっちゃったときのこと考えちゃうよね~(笑)。
壇蜜: (笑)。そろそろお時間がきてしまいました。今日はありがとうございました。首都大学東京[現・東京都立大学]の教授、社会学者の宮台真司さんでした。
大竹: また近いうちに。
宮台: はい、ありがとうございました。
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