文字起こし:文化放送サキドリ!|日本人と日本政府のダメさ & 誰が生き残るか?
文字起こし:文化放送サキドリ!|日本人と日本政府のダメさ & 誰が生き残るか?
番組開始後01:10:47〜01:18:11「オピニオン」コーナー
注意:文字起こしは旧知の編集者に御提供いただきました。
語句や言い回しを少し直しました。
[ ]内は文脈を補ったものです。
--『サキドリ』が誇るコメンテーターの皆さんに、気になる動きについて存分に語っていただく「今日のオピニオン」。今日はスペシャル・コメンテーターの宮台真司さんにうかがいます。(中略)宮台さん、今日取り上げる話題は?
宮台
はい。日本人と日本政府のダメさが新型コロナで炙り出されたということ、プラス、これから誰が生き残るのかという話をします。
日本人のダメさを象徴するのが「安心厨」です。「安心」という言葉は英語にはない。あるのは、“feel secure”“feel safe”“feel easy”という言い方。“security”「安全」とツイになるような言葉はない。
なぜかと言うと、「安心」と「安全」は対立するからです。特に不確実な状況下では、ヘタに「安心」をすれば、「安全」がないがしろになるからですね。[それが英語ではfeelという主観性を示す言葉で示されるわけです。]
ところが、日本では、基本「安心厨=ゼロ・リスク・マニア」が多くて、自分の心が安心したいためだけに、何かnoisyなもの、自分にとってイヤなものを攻撃する一方、政府にベターッと貼り付くんですね。[これは善政と移動禁止で知られる江戸期以降のものです。]
安全をないがしろにする安心厨だらけの日本人に、対応しているのが、日本政府のダメさです。先ほど申し上げたような、ヤフコメ[YAHOO!ニュースのコメント欄]を気にし、イコール、ウヨ豚的なコア支持層の支持率を気にして右顧左眄する、倫理のなさですね。
別の言い方をすると、国民のためになる施策は何かという「正しさ」ではなく、支持率に象徴される自分のポジションのため、つまり「損得」のためにだけ、ウロチョロする。つまり「クズ=損得マシーン」が政治をやっている。それが日本政府のダメさです。
日本人のダメさと、日本政府のダメさが、徹底的に明らかになったという意味で、このコロナ禍を福音にすべきです。[すでに犠牲が出ている以上、これを奇貨ととして利用しなければいけないのです。]
先ほどの復習をすると、不確実性下での決定には確実なエビデンスはありません。ところが、ウヨ豚を中心に日本にエビデンス厨が実に多いですね。僕は「エビ厨」って言いますが、「エビ厨」がいかに馬鹿であるかを、彼らの反応がよく表しています
日本は、コロナ感染者数が少ないけど──検査数が少ないので当たり前だけど本当に少ないとすれば──BCG[結核ワクチン]の影響があったかも知れないし、他の人畜無害なコロナ風邪による免疫が効いたのかも知れない。でも不確定。これは過去に関わる不確実性です。
現在も不確実です。無症候感染者が持つ感染力の強さがどんどん明らかになってきているけど、最近までは曖昧でした。症状が出てから検査してきたけれど、感染源の隔離という意味ではもう無意味になりました。[現在の不確実性に配慮したマクシミン戦略=最小利得の最大化戦略を採らなかったわけです。]
未来も不確定です。確実なのはリモート・ワーク化が進むことです。仕事だけじゃなく、「集まりから個人へ」という変化が進みます。娯楽もリモート、医療もリモート、教育もリモート。人々は、家庭や小さな近隣に、閉じ込められていきます。
一方で、集まりの中で行動の過程を見られないので、必ず成果主義になります。[学校の教室を考えれば分かります。]他方で、家庭や近隣から見放された人は、分断と孤立ゆえに不安になって、ますます感情が劣化した安心厨になり、頓馬な政権にベターッと貼りつきます。
さて、これからどんな人がマトモに生き残るのかをお話します。嘘つきの安倍が後にコロナのせいにするでしょうが、コロナ以前から日本はGDPが7.1%マイナスでした。他の先進国は全てプラス。コロナ禍以降では日本は25%GDPが落ちました。他の国は10%前後です。[他にも、最低賃金が欧米の3分の2だったり、一人当たりGDPが昨年イタリアと韓国に抜かれたりと、日本のダメさを示す指標に事欠きません。]
日本が政治的に終っている話はしましたが、経済的にも終っています。なぜ経済的に終っているかといえば、既得権益をいじれないから。アベノミクスでいえば金融緩和と財政出動に続く「第三の矢」の産業構造改革ができていないことに関係します。[第三の矢が、既得権益の負担を軽くするための規制改革だけというのだから、爆笑させられます。]
さて、これからどうなるか。[それが社会も終っているという話なのです。]これからは長くコロナと共生する社会に必ずなります。[ニューヨーク市やチェルシー市で抗体取得者が5人または4人に1人だという事実が象徴的で、撲滅はあり得ません。4人家族がいれば既に1人は無症候感染している(した)計算です。]
そこから先はバランス衡量しかありません。人ごとに、住む地域や家族や職業が違い、地域や家族ごとに生活形式や文化や風土も違います。そんな中で、単一の正解は絶対にないんです。そこから先は、専門的になるけど、ベイズ統計的な戦略が必ず必要になります。
どんな戦略かというと、各事象(ことがら)ごとに事前確率、つまり主観的な確率を割り当て、それら事象ごとにプラマイの期待利得を割り当て、それを合算して、ある決定がどんな帰結を招くのかを利得計算し、他の決定と絶えず比較する、という戦略です。
この計算結果は、個対ごとに想定すべき事象が違い、事象ごとの利得も違うので、個体ごとに異なってくるんですね。このベイズ的戦略にとっての最大の癌が「リスクがあるじゃないか」「政府に逆らって不安を煽るのか」とギャーギャー喚く安心厨です。
[ロックダウンを続ければ都市が死ぬので、ほどなく段階的に解除しますが、リスクがゼロになったからじゃない。]こういうギャーギャー喚く安心厨は、怖くて、家から一歩も出られなくなる。[というか「今後は一歩も家から出るなよ、安心厨(笑)」で終了。]
逆に、バランス衡量しながらベイズ的戦略が取れるのは誰か。分断・孤立を回避し、仲間に守られるがゆえに仲間を守る者です。そうした人だけが、ベイズ的戦略に必要な知識社会化、つまり思い込みの排除ができます。[ベイズ的戦略には、事前確率の割り当てと事象利得の割り当ての適切性が必要なので、1つの頭で考えるだけでは足りないんです。]
次に、安心厨に象徴される感情的劣化層は、若ければ若いほど大きいと考えます。なぜかというと、安倍支持率と感情的劣化率が関係しているというのが、僕の見立てだからです。[余裕がない事情はあれ、正しさより損得を優越させるのが感情的劣化の定義です。また余裕のなさですら「支えられ支える仲間の不在」という生き方によるものです。]
だから、下の世代になるほど感情的劣化層だらけで、感情的通常層が少なくなるということだから、日本は長期的には必ず沈みます。[知識社会化できず、安心厨的に政権にへばりつき、誤った選択や孤独による免疫低下などで、社会的コストを上げるからです。むろんこの社会的劣化が、経済的劣化や政治的劣化をもたらします。]
だからこそ、国家大でのマクロな流れに巻き込まれないで、仲間に支えられ、仲間を支えながら、決して安心せずに、仲間のためにこそベイズ的戦略を動的に変化させるような個人が、勇気と知恵を与え合うネットワークを形成していくことが、必要になります。
日本人にありがちな、横が10万円貰ってるから自分も貰おう、横が貰わないっていうから貰わないでおこう、みたいなのは馬鹿げた選択です。「我が党はもらいません」「なんとか団体の幹部はもらいません」みたいな宣言は、ありえません。[団体内で横並びになれというのは、旧大政翼賛会体制そのもの。貰いたくないなら黙って貰わなければいい。]
まとめます。これからコロナと共存する社会になるのは確実です。でもそれがどんな社会かは不確実です。だから「みんな同じ」は絶対にない。事情がみんな違う。自分たち仲間の事情を自分で考え、仲間の間で訂正し合い、自分で決断するしかありません。
そのためにも[家族を含めて]仲間が必要です。各自ごとに異なる賢明な選択をするには、[知恵も勇気づけも含めて]仲間の助けが必要なのです。その意味で、これからは生き方が問題になるわけです
--なるほど。
宮台
決断が妥当であるほど仲間を助けられます。そうした仲間集団が多い国は新型コロナと共存して生き残ります。そうした仲間集団が少ない国は確実に沈みます。日本が今のままではただ沈むだけで終わります。日本人のダメな生き方を反省するいい機会です。以上です。
--わかりました。宮台真司さんの「今日のオピニオン」でした。
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