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後半の続き|宮台真司×福山哲郎|緊急配信 検察庁法改正案を考える|2020.05.16ライブ

後半の続き【宮台真司×福山哲郎|緊急配信 検察庁法改正案を考える】
  You Tube|2020.05.16(土)ライブ配信
  福山哲郎さん : 参議院議員/立憲民主党幹事長
  宮台真司   : 社会学者/東京都立大学教授
  (文字起こし : 立石絢佳 Twitter: @ayaka_tateeshi)

   後半がオーバーフローしたので、後半の続きです。大事なテック問題。

▶ポストコロナ社会はどうなるのか

福山: ははは(笑)。先生、今日は長時間お付き合いいただいてありがとうございました。あのー、当初、先生かなりお言葉が、キツい部分もあったので、お聞きいただいた方、そこはあの、先生の趣旨をご理解いただければと思いますが。やはり先生のお話は、いまの日本社会をよく表していただいたというふうに思います。先生あの、結びに短く、「ポストコロナの社会とは」ということで質問がきておりますので、先生なりに語っていただければと思います。

宮台: 基本的なこと。抗体ができるかどうか分からず、抗体が免疫をもたらすかどうかも分かりません。世界中の免疫学者たちは、半年~1年以上もつ抗体はできないだろうと予想しています。しかも、抗体による免疫は弱いものだろうと予想しています。ということは、今後10年あるいはそれ以上の長きにわたって、世界中の都市ごとに、ロックダウンしては再開し、またロックダウンしてはまた再開し、って繰り返しになるでしょう。
 そうなると、感染対策と経済と両立させるために、テクノロジーを用いたハイテックな生体監視が必ず持ち込まれます。繰り返すと、これは必然です。その場合、二つの方向が分かれます。一つは、生体監視を中国のようにバーティカル[垂直]に貫徹する方向。これは統治権力のプライバシー監視に基づく私生活介入との合わせ技です。もう一つはFANGA[日本でいうGAFA]が推進し、ヨーロッパが推奨しているようにホリゾンタル[水平]に展開する方向。データを匿名的に蓄積した上で、交通経路や都市にフラグを立て、あとは市民の賢明な判断に任せるっていう。
 スウェーデン方式は、テックは使わないけれど、政府が、掻き集めた情報を全面的に情報公開した上で、あとは市民の懸命さに期待するっていう、典型的パターンです。死者数は多めですが、日本と違って「政府に対する信頼」も「市民相互の信頼」も、失われていません。
 はい、ここでキーワードがでましたね。バーティカルなテックは「政府に対する信頼」も「市民相互の信頼」も不必要で、汎用性があります。ホリゾンタルなテックは「政府に対する信頼」と「市民相互の信頼」の両方を要求するけれど、どちらかが欠けるだけでバーティルなテックの方が有効になります。今後は2つのテックが競争していくことになります。これが「非民主主義的なレジーム」と「民主主義的なレジーム」との戦いであるのは、明白です。果たして、どちらが勝つでしょうか。
 民主社会に必要なホリゾンタルなテックが生き残るのに必要なことは、まず市民相互の信頼です。自粛警察はその反対物です。もう1つは統治権力への信頼です。安倍政権はその反対物です。論理的に言えば、市民相互が信頼できなければ、市民が多数決で作り出す政権が信頼できるわけない。ウヨ豚が支援し、ウヨ豚を支援する、安倍政権が典型です。まぁ、それ以前に、嘘・隠蔽・改竄の常習犯である安倍政権から出てくる情報や、政権周辺のケツを舐める学者から出てくる情報を、信じられるわけがありません。信じられない情報をベースに、どうやって市民相互が信頼して適正に行動できるわけ?ということで、問題外の外とも言える安倍政権は、ひたすら市民相互の信頼を壊し続けています。
 安倍政権はどのみち終わりますが、「統治権力に対する信頼」と「市民相互の信頼」を維持できるかどうかが、中国のような徹底した垂直的生体監視に陥らないで済むかどうかの、カギになるんですね。今後、テックがどんどん入ってきますけれど、どういう種類のテックが良いのかっていう倫理的な判断を、忘れないでほしいんですね。そこでも、やはり倫理が問題になるんですよ。
 テックといえば、いまZOOMでこうやってミーティングをブロードキャスト(放送)していますが、これが何をもたらすのかってことについても、「言葉の自動機械」にならずに、良い面と悪い面が必ず両方あることを、忘れないようにしてほしいです。そのことに触れる時間はないけれど、もしこのようなオンライン化やリモート化に悪い面があるのだとしても、良い面もある以上、直ちに切り捨てるんじゃなく、悪い面を他の手段でどう補うのかって方向で、たえず考えていただいたいと思います。

福山: 先生が先ほど言われたことは本当に重要で、匿名の個人に紐ついたものを使うんじゃなくて、匿名化して使うことによって、ポストコロナの社会がより有効にいくためには、「ちゃんと匿名でやりますよ」という統治側に信頼がなければ、「これ悪用されるんじゃないか」とか。そうなった瞬間にそのやり方は崩壊して、不安の中で……まぁ中国的って僕が言うとまずいかもしれませんが……。

宮台: ははは(笑)。

福山: 要は、トップに、独裁的なものに対してなびいてしまうような社会に変わっていく可能性が、リスクが高まるということですよね。

宮台: そうです。しかも、中国の習近平のような独裁的指導者に比べて、日本の独裁的指導者モドキの実力は、あらゆる面で圧倒的に劣ります。いずれにせよ、5年10年のスパンでね、それぞれの西側社会がどっち側に向かったのかが見えるようになります。そのとき、日本の国民や政治家の性能が高かったのか低かったのかが明かされるでしょう。結果は、みなさんの頑張り次第です。

福山: 示唆に富んだお話をいただいて、ありがとうございました。先生とお話するといつも、頭が整理できますので、本当にありがとうございます。お忙しい中、長時間お付き合いいただいてありがとうございます。

宮台: ありがとうございました。失礼します。

投稿者:miyadai
投稿日時:2020-05-23 - 01:59:33
カテゴリー:お仕事で書いた文章 - トラックバック(0)