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美少年を「支配したい」女たちの心理は? 「支配される」存在としてのジャニーズ系美少年の特異的な魅力と、彼らを「支配したい」という女性たちの心理とは? 美少年を「支配したい」という女性たちの出現と、「支配される」存在としての美少年の出現とが重なっている現在の社会状況について、速水由紀子氏が熱く語ります。 また、この「速水由紀子氏インタビューwith宮台真司」は、速水氏による「AERA」(1999年10月11日号)の記事、「働く女ハマる美少年の癒し」を下敷きにして、1999年11月6日に行われたものです。インタビューからすでに一年半以上が経過しており、インタビュー中の「固有名詞」たちの身にも、みなさんご承知の通り、いろいろありました。 それでも、ジャニーズ系美少年を支配したい女性たちのメンタリティには変わらないところがあるでしょうし、ジャニーズ系美少年たちの「受動性から能動性へ」という成熟課題にも変わらないところがあるでしょう。はたまた、支配と被支配のあいだにある心理や、受動性と能動性とのあいだの成熟課題という、私たち一般の問題に引きつけてみることもできそうです。【編】
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■ ジャニーズ系美少年のつくられ方――被支配的な美少年の「陰」の魅力 インタビュアー(以下、P) 先日の「AERA」(1999年10月11日号)の記事、大変興味深く拝見しました。「働く女ハマる美少年の癒し」というタイトルで、とても面白かったです。「ジャニーズ系美少年」って、もともとあったものだと思うんですけど、デビュー前のジャニーズJrがこれだけ売れるようになると、なにか来るところまで来たのかという気すらします。今日は、そうしたジャニーズ系美少年にハマる、年上の女性たちのパーソナルな面をお伺いする中から、今の世の中の一端を見ていければと思っています。 速水 えっと、そのパーソナルな面について話す前に、まず、ジャニーズJrの特殊な状況について。前に週刊誌にも出てたけど、事務所の社長の"おめがねにかなう"ことが大切って噂されてるよね。みんな、社長の眼力に磨かれて成長していく。 で、彼らが、「美少年的な魅力」――被支配的な美少年の魅力――を醸し出しているのは、その影響もある。受動的な面をすごくうえつけられる、つまり、男に美を判定されるっていうのは、自分の「陰」の要素というものをすごく自覚させられるわけでしょ。 それまでキャッキャッしてただの男の子だったのが、僕ってそういう存在なの、って思う。フォーリーブスの北公次がそのはじまりだし、今で言うと、SMAPの稲垣吾郎が、どこまでほんとかわからないけど、社長の一番のお気に入りだっていう話でしょ。彼って、SMAPの中では、すごい「陰」よね? そういう「陰」の要素持っているタイプって、ジャニーズ以外ではあんまり出てこないのね。Kinki Kidsの堂本光一とか、今で言うと誰だろうな、滝沢君なんかもそうだし、あのへんの、いわゆるほんとに美形の子たちは、みんなそういう「陰」の要素が強いと思う。女と男の中間。ただきれいなだけじゃない。それはね、今の大人の女の人、ハタチ以上の女の人の支配欲求をすごくかきたてる。それが、ジャニーズ系美少年が他のアイドルとすごく違う重要な点。 ■ 「支配したい」女たちが「支配できる」ジャニーズ系美少年 速水 で、それが今の時代にすごくうけるということは、時代性を反映してるとも言える。「AERA」の記事にも書いたけど、女の人が支配されているという世の中の大かたの構図があるでしょ。つまり、女の人は会社に入ったら、会社のなかで、せいぜい、このくらいのポジションかなって――職場の花になるのか、職場の奥さんになるのか、職場のゴミためになるのか――っていうのは、入ったときからオヤジたちに暗黙のうちに決められて、そのような扱いで行く。 でも今、そういうの、もうすごくうんざりっていう女性がすごく増えてて。今までは、うんざりはしても、いちおう「演技」はしていた。ああ、私のポジションはこれね、はずしちゃいけないわ、って。はずしたら「クビだー」ってことになるんで、いちおう職場の妻としてふるまうとか、アイドルならアイドルとしてふるまってきたわけですね。 でも、そんなふうに「演技」するのがいいかげんいやになってきた女の人たちがいる。私なんかめちゃめちゃできないんですけど…。でもそれをやめようと思うと、まず一つは能力主義になりますよね。自分に実力がなかったら妻をやるしかなくなる。妻をやめるためには突出した能力が必要になるから、すごい仕事がんばるわけですよね。 もう一つは、そういう男たちともうつきあいたくない、性愛的な関係を持ちたくないし、パーソナルな意味でも、妻であるとかアイドルであるとかはやりたくない。で、そこからはずれる。はずれた女性たちは、今までの反動で「自分が支配する」ほうに向かいますよね。自分の価値を自分で決めさせてもらって、相手の価値もどうせだったら自分で決めたいっていう方に。そこでジャニーズが出てくるんですよ。 例えば、記事に出てきた比呂子さんは、SMAPが、まだジャニーズJrみたいな状態で、キムタクもまだあんなに人気がなくて、ほんとにコドモって感じのときは、クサナギ君がすごく好きだったんだって。クサナギ君、むかしは、その何て言うんだろう、いわゆる今の、「受動的な」かわいい子っていう感じだったらしいんですよ。今は何か違っちゃってるんだけど。ま、彼らがそれぞればら売りになって、俳優やったり、いろいろ芸をみがくようになって、自立しちゃったら、つまらない。支配できないっていうか。 そうするとね、つまらないから、もうちょっと下の、その中でも、ジャニーズJrの小原君。顔すごくきれいだけど、まだサイコメトラーとか、あの程度のまだ脇役。顔きれい、まだ脇役っていう、一番支配しやすいポジションですよね。あれ、滝沢君だったら、もう支配できない。すでにNo.1だから。そのへんのね、微妙なポジションに行くっていうのが、すごい比呂子さんらしいなって思う。 P それ面白いですね。完全なNo.1のスターがいいってわけじゃないんですね? 速水 例えば藤原竜也。ああいうタイプの子ってね、支配できないと思う。プライドあるし、自分の芸、演技がすごく評価されているでしょ。ただ、かわいいだけじゃないから。そういう子って、いくらかわいくても、「支配したい美少年」っていう感じには、なかなかならない。 で、ほんとに支配したいって思わせるのは、自信がない、見かけはすごいきれいなんだけど、まだ完成される途上、まだまだ完成されるにいたっていない子たちが、いちばん、20代、30代の女性にとっては、ちょっといじってみたいなっていうか、成長させてみたいなっていう意欲をかきたてる存在ですよね。 それで、キムタクは、いわゆる美少年はもうとっくに卒業してますよね。キムタクになると、こっちが彼に支配されちゃう。彼は自分のセンスも持っているし、これはいやだ、これはやりたいって、はっきり言う。そういう人には、相手に「自分は支配されて、相手の価値観にそって動かなきゃいけない」と思わせる、暗黙のsuggestion(示唆)があるんですよね。だから、キムタクはもう美少年の枠からは外れますよね。 キムタクは、彼のお父さんの事務所がマネジメントしているという噂です。ジャニーズの直系支配から一歩違うところにいて認められてるのは、キムタクがはじめて。それがなんで可能かというと、今、キムタクの人気が大きすぎて、もしね彼が少し造反したからっていって切っちゃったら、もうSMAPそのものがだめになっちゃうし、人気がた落ちになっちゃうからだと思う。そこまで人気が集中して、自分の意志を通すだけの実力があったはじめての人間、ということで、キムタクは画期的。でもそのかわり、彼はもう美少年の枠を外れて、ある程度「自我意識」のある大人の男っていうふうに移行したって考えてもいい。 で、記事の2番目の人、真由美さんは、ハタチ以下の美少年じゃないとどうしても「できない」っていう女の子なんだけど、うーん、できないっていうか、「やりたくない」。その人の場合も、完全に自分が上位、優位に立って男の子を支配しないとだめなタイプなのね。なんでかと言うと、彼女は成長過程にお父さんといろいろあったりして、「オヤジ的なるもの」がいっさいだめなの。 男の子がハタチを超えると、やっぱり「オヤジ的なもの」が多かれ少なかれ出てくるのね。自分を守んなきゃとか、相手を多少はコントロールしたいとか、そういう「オヤジ的なもの」が見えちゃうと、真由美さんはもういやになる。だから、相手を完璧に支配したい、自分の色にしたい、っていう欲求が強くて、で、そういう相手はとにかくハタチ以下の、いわゆるジャニーズ系の男の子、「受動的な子」じゃないとだめ。で、だんだんと育てて行く。プリンセスメーカーの男版みたいな感じで。そして会社も、自分のいいと思う会社に入れる。 これ、今けっこう一般的になってて、「日陰の花」っていうのが最近増えてる。で、それでいいっていう男の子が最近増えてるの。そうじゃなきゃ成立しないわけでしょう。年上で、お金もまあまああって、自分を支配して、でもある程度だったら甘やかしてくれる、年上の女の人がいい、っていう男が増えてるから、そういう女の人も相手がみつかるわけですよね。こういった社会的な広がりと、そういう傾向を持つアイドルが人気が出てくるということは、無縁じゃないでしょうね。 ■ 美少年が得るメリット P その女の人の趣向は、たんに「年下」がいいというわけではなくて、年下でもある年齢層に限定されるわけですか。例えば性的なものが出てこない年齢層、例えば10代までとか。 速水 みんなやっぱり10代、上限22歳くらいまで、って言うんだけど。まあ、学生とか、モラトリアム、ってことよね。自分が何者かであるってなっちゃうと、支配されることから抜け出したくなってきたりするから。むかしだったらハタチまでが青春でハタチからおとなだったけど、今は30歳まで青春なのね。そういうふうに変えようって言っている人もいるけど。30歳までは大半がモラトリアム。自分が何者であるかって決められないし、決めてない男が多い。 で、それに比べると女の子は、とりあえず職を決めて、ある方向性に突っ走って行く。女の子の方がモラトリアムじゃないわけ。そうすると、モラトリアムじゃない女と、モラトリアムの男だと、絶対支配するのは、女、でしょ。そういう、精神年齢の格差みたいなものがすごい影響してますよね。女のほうが先に成長して成熟していく。社会に溶け込んで行く。男はやっぱり、そこにワンクッションを置いていたいないっていうところがある。 で、今言ったみたいな、例えばフリーターのカップルだと、女の子が、あんたはやくカタギのところに就職してよっていうわけ。そうすると男の子が、うーん、でも、僕もまだやっぱり遊びたいですよねって言うの。でも、生活費も家賃も全部女の子に支払ってもらって、たまに買ってもらうのはケータイのストラップくらいなんですって。要するに、100%女の子が養っている「ヒモ状態」なんですよ。でも、女の子から見ると、いちおうかわいい顔だし、連れて歩いて恥ずかしくない、っていう感じで。でも、それ私から見ると、そんなのヒモで、金をたかられてるだけじゃないって思うんだけど、女の子の方はね、同棲してて恋人だと思ってるのね。でも、それで何となく生活がなりたっているわけ。 今、そういうカップルが意外と多い。そういうの見ると、ジャニーズJr系の子は、受動的であることによってメリットを得ることがすごい多いことがわかるでしょ。モラトリアムでいられる、自由でいられる、しかも金は払わなくていい。何をするかっていうと、まあ、かわいい顔してて、適当に甘えたり、適当に言うこと聞いてりゃ、全部やってくれる。こんな楽なことはないですよね。 P 男の子の側は色がついていたらいけないわけですよね。女性からすると、自分色に染めたいっていうか。 速水 だけどね、彼女たちは、男の子から適当にわがまま言われて、たとえば車買ってと言われたら買ってあげる。それは、「ママ(母親)」との関係ですよね。 宮台 それは、「自意識」が生まれるまでの関係だからね。男の子が、5年7年たって成長しちゃえば… 速水 もう、終わり。なぜかみんな、だめになっちゃうの。この真由美さんもね、18歳の子とすごい結婚したいって思ってた。その時のダンナと離婚して。だけど結局いろいろなしがらみで、そうはできなかった。 それにね、真由美さんのまわりの人たちも「あなたはいつも18歳以下の子にほれて、でもその子が大人になるとだめになるでしょ」って言う。真由美さんも、そう言われたら言い返せない。真由美さんも内心では、離婚してまで結婚しても、彼がハタチになったらいやになるんだ、って思っている。男の子に、「君はこれをしちゃだめだとか、そういうことはゆるせない」とか、そう言われ始めたらおしまい、っていう法則になってるのよ。 |
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■ 「幻想」の演技を続ける女、やめる女 P 真由美さんは、男の側から命令されるのをがまんできない、ってことですか? 速水 そう、がまんできない。それはもう、会社とかでやられすぎてて、真由美さんの場合、恋愛モードにそういうものが入ってきちゃうと、排除しちゃうのね。 女の人には二通りある。一つ目は、演技できる人ね。幻想通りに演技し続けて、それによって得るメリットが、演じることによるストレスよりも大きいと思える人は、幻想の演技を続ける。二つ目は、演技してもストレスたまるだけでつまんないから、演技することをやめて実質に走る人。実質って言うか、もう、演技やめる。そして、自分をオヤジ的メンタリティにシフトチェンジする。 でもね、この二つの分かれ目はね、こう言っちゃうと身もふたもないんだけど、幻想を演技してメリットのある人、つまり女としてセクシーであるとか、すごい美人でちやほやされるとか、女性的なかわいさがあるとか、ヒロスエ的なかわいさがあるとか、メリットがある場合は演技しちゃう、どうしても。 だって、例えば広末の場合、"けなげさ"を失わず、吉永小百合の後継者として「ヒロスエでーす」ってやっていれば、産業が成り立っているわけでしょ。それって、ものすごいメリットよね? ところが、まったくそういうものがなくて、いっしょけんめい、少女っぽくぶりっこしても、なんもなかったら、そんな演技するのばからしいでしょ?やらないよね。 そこが、すごい分かれ目。男もおなじ。男は美少年としてふるまって演技するメリットがあれば、演技する。でも、いくら美少年づらしても、誰もよってこなくて、お金も払ってくれなかったら、あほらしいからやめようってことになるでしょ。そこが、分かれ目なのよね。要するにブスとかさあ、美醜で決まるのか、みたいなフェミニストが言うかもしれませんがー、現実問題としてそこなんですよ。分かれ目は。 ■ 「マトロン」の上限 宮台 女の人にとって、男の子の賞味期限が20代前半っていうのがあるけど、女の人がさー、パトロンじゃなくて、マトロンってなるのか女の人の場合は。マトロンを巡る年齢の上限っていうのは何歳くらい?小柳ルミコは…何歳かな? 速水 ああ、彼女はー、40歳とか50歳になってもやりたいって言ってたっていうけど、要するに、容姿が相手に受け入れられるのは、個人差はあるけど上限がありますよね。それ超えたら、やっぱりルックスでは勝負できないから、金、経済力をつけるって、みんな言ってるよ。 宮台 健気、だね。 速水 えー、だって、おやじはそうじゃない。完璧に。経済力でしょ。それとおなじ。ルックスっていうか、ある程度の若さを保っていられて、ハタチの男の子が見ても女として感じることの出来る限界は、やっぱりあるってみんなわかってるし。風吹ジュンとか、高橋恵子とかは別として。 ちなみに私、この前の"逆援交"の取材のときに、男の子に聞いてみたのね。誘われて、お金もらってエッチしてもいいって思える上限、どのくらい?って。そしたらね、格差はあったんだけど、ま、自分好みの容姿だったら、30歳までとか。あと、金10万くれるんなら40歳までとか。 だから、女の上限って男より低いのね、どうしても。男ってほら、生理的なもので、機能しなければそれで終わりだから。でも、女は別にこれだめっていう基準ないでしょ。お金もらって、いやだけどがまんしてマグロになっていればなんとか成立するけど、男はマグロじゃ成立しないから。だから、金の力で何とかやるしかないかなって、思うんじゃない? ■ 「オヤジ」の領域に入っていかない、「ツッパリ」美少年 P 美少年好きの女の人って、セックスはどうなんですか? 速水 もちろん、あり。だって彼女たち、美少年としかセックスしたくないから、つきあうわけでしょ。それが一番の目的。 P そうすると、その美少年のボディの個々のパーツに思い入れってあるんですか?すね毛が生えていちゃだめとか、ひげが生えていちゃだめとか。 速水 あー、やっぱり、つるっとした、きれいな肌がいいって…(笑)。 それで、面白い話聞いたんだけど、じゃ、トヨエツでもだめ?三上博史でもだめ?「うん、だめ、ぜったいだめ」。でもね、「でも、萩原聖人ならいい」って言うのね。で、えー?と思ってどうして?って聞いたら、彼30歳なんだけどね、「だってなんか『少年』じゃない?あの人」って答えるの。 男でもそういうふうに特例がある。要するに、「ツッパリ」。30歳になっても40歳になっても、「ツッパリ」のモードを保っている人、オヤジの領域に入っていかないで拒否する人。彼女たちはきっと、そういうのがいいんだよね。だから、オヤジにならないっていう精神的な部分が重要。 でもね、いわゆる「オヤジ」っていう言葉を、世間はすごく誤解してる。例えば、口がくさいとか、足の裏くさいとか、ハゲだとか、デブだとか、お腹が出てるとか、世間はオヤジのことそう思ってるでしょ。でも、そういうのとは違っていて、オヤジかオヤジでないかの分かれ目は、精神的なものが大きいです。外側に出てくるものもすごくあるんだけど。 P オヤジかオヤジでないかを分かつものは、まず精神的なものが第一で、後から外側に出てくるということですか? 速水 うん、そうなんだと思う。どんなにルックスよくても、社会に対して自分に「保身」をはかるようになったら、やっぱりもうオヤジ。 P 「保身」? 生き方が守りに入ったら、ってことですか? 速水 そう。オヤジにまで到達しない、2段階くらい前の、少年のモラトリアムの状態っていうのが、彼女たちにとっては理想的なんだと思う。 P 2段階前ということは、オヤジの前の、前、ですか? 速水 うん。つまり、成人、社会的責任を負うっていうオヤジの前、思春期と成人との境目くらいの、その、みずみずしい感受性(笑)。 それはね、オヤジを考えるとわかると思う。援交するのに、彼らが一番望むことって、「女子高生」でしょ。で、なんで女子高生がいいのかっていうと、支配したいし、まだ汚れてないように見えるし、一見聖なるものに、見えない人も多いけどー、ま、何となく「少女」とかね、「セーラー服」とかいう幻想を重ね合わせていられるように思えるじゃない。 それとまったくおんなじと思っていい、ほんと。そういうフェチは、女の子が高校卒業すると、同じ高校の下級生を紹介してもらうのね。きみ、高校卒業したらもういいから、後輩紹介して。きみ、大学生になったらもう興味ないから、って。それと同じでしょ。 ■ ジャニーズ系美少年の生産システム P で、「女子高生」もおんなじですよね。かわいいっていう演技をすることによって、メリットがあるからやる。 速水 もちろん。 P 美少年も、演技することによってメリットがあるからする。 速水 そう。そのメリット感覚を、ジャニーズJrの子に植え付けるのは、やっぱり彼らを「日陰に咲く花」として性的に見る視線でしょ?それに対して、従順であることを要求される。「あ、ここで反抗したら、おれデビューが出来なくなって、このまま干されて、終わるんだ」ってみんな思うらしい。それで、みんなそういう視線に耐える。それって、メリット感覚でしょ。「がまんすれば、デビューできるんだ。お気に入りになれば、真ん中のステージに立てるかもしれない」。それは、女の子のメリット感覚とまったく同じ。その、メリット感覚を持つということは、単なる美少年じゃない、受動的な魅力というものをそこでひとつ得ることになる。 だから、そのシステムが、芸能としてひとつメリットがあるとしたら、そこの部分。美少年が他と違う美少年である、っていう。ジャニー氏が見つけてきた美少年は、すごい違うんだって。他のスタッフがどうスカウトしてきても、彼の眼力にはかなわないんだって。 だから、堂本光一君もそうだけど、どっか、女性的な要素ってのが大きいんでしょうね。で、今の女の子は、女性的な要素が大きい美少年をすごく好きだから。いわゆる、やおい漫画に出てくるようなタイプね。 P ある意味、時代にマッチしたわけですよね。いま、オトコオトコしたの出しても失敗しますよね、絶対。 速水 そうそう。だから、ジャニーズJrが、今、すごいでしょ、TV局で。どこでも、すごい権勢を持ってて。あそこの事務所ににらまれたらもうやってけない、ってくらいになったのは、その生産システムが他とすごく違う点、そこに尽きるんじゃないかな。 |