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■マル激トーク・オン・ディマンド 第459回(2010年01月30日)
なぜ普天間問題がこじれるのか
ゲスト:鈴木宗男氏(衆議院外務委員長)
<プレビュー>
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名護市長選で辺野古への移設受け入れに反対する新人の稲嶺進氏が当選したことで、普天間基地移設問題は更に混迷の度合いを深めている。鳩山首相は5月までに結論を出すとしているが、今のところいろいろな地名が乱れ飛ぶばかりで、具体的な展望は一向に開けてこないかにみえる。
橋本内閣で沖縄開発庁長官を務め、長年沖縄と深い関わりを持ってきた鈴木宗男衆議院外務委員長は、普天間問題がこじれる理由として、小泉内閣以降の歴代政権が、沖縄の人々の基地に対する複雑な思いが理解できていないことを真っ先にあげる。沖縄の歴史や事情も知らないでたまたまポストについた政治家が、ハコモノ的なバラマキで沖縄の人々の心を切り裂いてきたと鈴木氏。普天間をめぐる鳩山政権の迷走ぶりの元凶も「沖縄の人々の心が理解できていない」ことにあると鈴木氏は言い切る。
沖縄では基地に対する複雑な思いがある。温暖な気候と豊かな自然を持つ沖縄は本来は基地など無くても十分にやっていける。その意味ではもちろん基地なんて無いに越したことはない。しかし、沖縄にとってもし基地の受け入れがどうしても避けられないことなのであれば、その負担や影響を最小限に抑えるとともに、少しでも沖縄の地域振興に役立つ見返りを得ようと考える。あたかも沖縄は、利権が欲しくてあれこれごねているかのように見られる素地が、ここに出てくる。
沖縄では、基地に出て行ってもらえる現実的な可能性が見えてくれば、基地反対が優勢になる。しかし、どうせ受け入れなければならないとなった瞬間に、強制的に土地を接収されるくらいなら基地地主になって地代を徴収した方がましだし、どの道基地の負担を受け入れなければならないのなら、少しでも多くの経済振興策を求めようという話になる。これは当然だ。沖縄の中に2つの異なる利害が共存するというよりも、沖縄の人一人ひとりの中にそれが共存すると言ってもいいかもしれない。鳩山政権で沖縄問題を扱っている政治家たちには、それが十分に理解できていないのではないかと、鈴木氏は言うのだ。
もともと日米間で2006年に合意された現行の辺野古崎移設案にしても、当初は環境への負荷を最小化する目的で海上浮揚型のメガフロート案や杭式桟橋案などが模索されてきた。しかし、それでは高い技術を持つ大手ゼネコンばかりが潤い、地元の土木建設業界に恩恵が落ちてこないとの理由から、最終的にはより環境負荷の高い現行の埋め立て式V字滑走路案になったという経緯がある。V字で2本の滑走路にした方が、埋め立て面積が大きくなるからだ。ことほど左様に沖縄の基地問題は、複雑でデリケートな側面を持っている。単に辺野古の代わりの場所を見つければいいという話ではないのだ。
その意味で鈴木氏は、名護市長選挙の結果を「斟酌しない」とした平野官房長官の発言には怒りを隠さない。鳩山政権がまずすべきことは「沖縄の声を聞くこと」(鈴木氏)なのに、それとは正反対の方向を向いた発言だと言うのだ。また鳩山内閣の他の閣僚も、普天間移設の経緯や事情も踏まえずに、移設先に関して好き勝手な発言を繰り返していると、同じ与党の議員でありながら、鳩山政権の対応には容赦の無い苦言を呈す。
しかし、その鈴木氏でも、普天間問題への具体的な解決策を問われると言葉に詰まる。まず沖縄の声を聞いた上で、最後は沖縄に「貢献をお願いする」以外に解決方法はないだろうというのだ。
普天間移設問題をめぐる歴史的な経緯をふり返り、その解決に向けて今政治が何をしなければならないのかを、鈴木氏とともに議論した。
また、同じく鈴木氏とは、検察の小沢氏の政治資金規正法違反捜査に関連して、鈴木氏が政府に提出した検察の捜査に関する数々の質問趣意書の内容とその回答についても議論した。(今週は5金にあたりますが、1月は第一週目の放送をお休みさせていただいたため、通常の編成で放送します。)
<今週のニュース・コメンタリー>
・あいまいな「指揮権」の法的根拠
・検察審査会の強制起訴が持つ意味
・トヨタ大規模リコールの衝撃
・期待はずれ?のiPadと電子書籍市場への影響
・ハイチ災害援助
先進国に遅れをとる日本のNGO支援
<関連番組>
■マル激トーク・オン・ディマンド 第246回(2005年12月07日)
アメリカ依存から卒業するためにも憲法改正は必要
ゲスト:石破茂元防衛庁長官
http://www.videonews.com/on-demand/0241241250/000647.php
■マル激トーク・オン・ディマンド 第242回(2005年11月09日)
鈴木宗男は何と戦っているのか
ゲスト:鈴木宗男衆議院議員
http://www.videonews.com/on-demand/0241241250/000643.php
■マル激トーク・オン・ディマンド 第134回(2003年10月10日)
鈴木宗男的政治手法が投げかける小泉改革への疑問
ゲスト:鈴木宗男 前衆議院議員
http://www.videonews.com/on-demand/0131131140/000533.php
■永田町コンフィデンシャル 第10回(2007年08月07日)
沖縄の声は、未だ届かない
ゲスト:下地幹郎氏(衆議院議員)
http://www.videonews.com/nagata/001010/000303.php
■ニュース・コメンタリー (2009年12月12日)
アメリカは本当に怒っているのか
普天間移転問題で抜け落ちている論点
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001334.php
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