MIYADAI.com Blog

MIYADAI.com Blog
12345678910111213141516171819202122232425262728293031

Written

モダンフェイズ・システムズのウェブサイトはこちら

マリファナ合法化の諸問題 ~個人的法益とともに社会的法益を考慮すべし~

投稿者:charlie
投稿日時:2003-09-07 - 13:48:00
カテゴリー:お仕事で書いた文章 - トラックバック(1)
■WHOのレポートが示すように、精神的依存性・身体的依存性・健康被害のいずれにおいても、アルコールがマリファナを上回る。
■米国での実験では、酒酔いは反応速度を著しく低下させるが、マリファナは低下どころか向上させる場合もあり、車の運転との親和性も酒のほうが低い。
■ゆえにマリファナを販売し、流通を放置することが、個人的法益を侵害するとは言えない。とすれば規制の理由は、論理的にいって社会的法益の侵害しかない。
■これが難しい。「10の疑問」Q7にあるステップストーン理論(ソレを踏み台にしてもっと上に昇る)は、問題が社会的文脈によるので、単純に実証できない。
■酒を飲むと薬物へとエスカレートするという踏み台は、どこの国にもない。とっくに合法化されていて禁忌の意識がないからだ。マリファナはどうか。
■非合法化された国では、禁忌を破って薬物にアクセスしようとするという行動習慣の入口にマリファナが位置し、踏み台として機能してしまいがちだ。
■社会政策上の微妙さがここにある。第一に、酒のように常態化すれば踏み台として機能しなくなるが、それまでの過渡的期間、解禁が踏み台を与える可能性がある。
■第二に、社会との親和性。近代社会は長く酒と共存してきたが、マリファナとの共存は歴史が短い。社会と親和的な吸引習慣のありようが不透明なのだ。
■解禁せずとも社会的法益上の問題が生じる。第一に、闇勢力の資金源になる可能性。第二に、規制するからこそ踏み台になる可能性。第三に、一定以上拡がった段階では、重罰を伴う取締りが、行政権力の恣意的な狙い打ちに利用される可能性。
■利害得失判断は客観的計算で済まない。どんな社会をよしとするかの議論と表裏一体だ。Just Say No から Just Say Know へと転換、議論を始める必要がある。