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連載第二回:「一般理論」とは何か

■社会学の基礎概念を説明する連載の第2回です。前回「社会」とは何かを説明しました。
「社会」とは私たちのコミュニケーションを浸す不透明な非自然的(重力現象などと異な
る)前提の総体で、それを探求するのが「社会学」でした。
■社会学誕生の背景にはフランス革命以降の社会展開がありました。それが、自立した個
人が契約に基づいて社会を営むとする啓蒙思想的な観念の前提たる、透明性に対する信頼
──個人から全体を見渡せるという信頼──を破壊したのでした。
■さて「社会学」なる言葉を使い始めたコントの時代は社会学を他の学問との関係でどう
位置づけるかという抽象的な問題意識が先行しました。ところが「近代社会学の父」と呼
ばれるデュルケーム、ウェーバー、ジンメルになると問題設定が焦点化されます。
■具体的には「近代社会」とはどんな社会で、他の社会とどう違うか。「近代社会」への
移行はなぜ起こったかです。哲学、心理学、経済学、政治学、人類学などから出自した前
述の論者たちが、これらの探求課題に取り組んで「社会学」を自称したのです。
■いまだ大学に「社会学」なる講座なき時代、既成学問で扱えない問題──「近代」とは
何か──に取り組むべく「近代社会学の父」たちがなした営みが、大学に「社会学」の講
座を産み、制度的学問としての「社会学」を誕生させたのです。
■それゆえ、コントとは違って「近代社会学の父」たちの学説は今でも参照され続けてい
ます。大学の講座云々もありますが(後に詳述)、「近代社会学の父」たちの社会学が「近
代」とは何かを解き明そうとする「一般理論」を目指していたからでもあります。
■ここで私たちは「社会」とは何かという問いに続き、「近代」とは何か「一般理論」
とは何かという問いを手にします。ただし「近代社会学の父」たちが、こうした問いにど
う答えようとしたのかについては、この連載では触れません。
■理由は、連載が、学説史ではなく、最先端の理論に基づく基礎概念説明を目的とするか
らです。今回は、これらの問いが伝統的なものであることを確認した上で、「近代」に関
わる問題は後回しにして、「一般理論」に関わる問題を一瞥します。

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投稿者:charlie
投稿日時:2003-05-11 - 15:22:00
カテゴリー:連載・社会学入門 - トラックバック(1)