MIYADAI.com Blog

MIYADAI.com Blog
12345678910111213141516171819202122232425262728293031

Written

モダンフェイズ・システムズのウェブサイトはこちら

連載第一回:「社会」とは何か

某雑誌で、バーチャル講義の原稿を元にした連載をはじめています。
みなさまにはご迷惑をおかけしたので、ここにも掲載させていただきます。

【はじめに:連載の目的について】
■社会学の基礎概念を幾つか取り上げて説明することが、連載の目的です。本誌の連載群
のように、ビジネス雑誌などに経済学の基礎概念について説明する記事が載ることは、珍
しくありません。ですが、社会学について同じことがなされることは、滅多にありません。
■なぜでしょうか。社会学の基礎概念とは何なのかについて、必ずしも合意がないからで
す。基礎概念についての合意がないので、基礎概念を用いないで書かれた、社会学を自称
する論文が、量産されています。これは学問としては、きわめて奇妙な事態だと言えます。
■基礎概念について合意がないのは、なぜなのか。社会学という学問の目的について、合
意がないからです。経済学の説明対象は、言うまでもなく「価格」です。社会学の説明対
象とは何なのでしょうか。しばしば「行為」であると言われてきましたが、どうでしょう。
■「行為」とは何かということは、連載でも説明する予定ですが、それ自体が大問題です。
それを置いて、日常的な語彙としての行為は、生物学的にも説明できるし、心理学的にも
説明できます。それらとは区別される社会学的な説明なるものは、なぜ必要なのでしょう。
■この問題は、近代社会学の父としてデュルケームやジンメルと並び称されるマックス・
ウェーバーが、『社会学の根本問題』などで当初から意識しており、戦後の社会システム
理論の基礎を築いたタルコット・パーソンズにおいても、繰り返し展開されてきました。
■しかし、80年代に入る頃から、こうした「行為」問題が問われることは、稀になります。
そうした抽象論に実りがないと思われたことも理由ですが、既に細分化された社会学分野
で業績を積み重ねるのに、そうした議論が必要なくなったということが、背景にあります。
■その結果として、「行為」問題に関わる者たちがハッキリさせようとしてきた「社会学
の目的とは何か」という焦点が、社会学者の意識から、ひいては社会学的コミュニケーショ
ンから、すっぽり抜け落ちることになりました。今回は「社会学の目的」をお話しします。

[続きを読む]
投稿者:charlie
投稿日時:2003-04-06 - 15:27:00
カテゴリー:連載・社会学入門 - トラックバック(3)