なんばりょうすけさんへの手紙
投稿者:
miyadai
投稿日時:2004-02-02 - 08:41:25
カテゴリー:
宮台の近況 -
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なんばりょうすけさん。
宮台真司です。
ご無沙汰ばかりしていて恐縮です。
このたび、『宮台真司とその思想』の更新停止のお知らせをいただきました。
なによりも、長年サイトを維持してきていただいたことについての感謝で一杯です。
ミホさんサイト以前からの歴史をもっているわけですから、驚くべきことです。
公式サイトを立ち上げてからも、予定掲載が不備であるために、大半の方々はなんばさんのサイトを利用してました。
そのおかげで僕の講演にいらっしゃった方々も多勢いらっしゃいます。
その意味で、僕ならびに、僕のファンの歴史をも担ったサイトであったと思います。
なんばさんと最初にお会いしたのも、ずいぶん前になりますね。
最近では僕のゼミに、なんばさんの同級生にあたるのでしょうか「日曜社会学」の酒井泰斗さんがいらっしゃいます。
それもこれも、歴史のなせるわざで、感無量です。
僕自身も、国家権力論→消費論→若者論→性愛論→宗教論→教育論→…→国家権力論と、ぐるりめぐって、
気が付くと、出発点に戻ってきてしまいました。
ぐるりとめぐってきた時期に、なんばさんのサイトが更新を停止されるのは、因縁を感じます。
僕の予感では、たぶん再び、ぐるりとめぐるのでしょう。
そして三周目の途中あたりで、余命がつきるのではないかと感じております。
そのときにも、なんばさんのサイトによって生まれた読者の存在を、なんばさんの御厚情を、決して忘れません。
なんばさんもよくお分かりのように、ファンや読者が増えることは、必ずしもよいことではありません。
ファンや読者が増えれば、著者はつい彼らのために分かりやすく書こうとします。
公式サイトでも分かるように、分かりやすい講演記録にコメントが群がることが、問題を象徴します。
しかし読者は分かったように感じるだけで、多く読者は残念ながら、最低限の読解力をも欠いています。
最近では「魂」問題で「国家は物質的豊かさを期さねば国民を守れない」などのコメントが低レベルを象徴します。
僕は「日本国民だけを守らなければいけない理由」が諸国万人に説得可能な合理性ではないと申し上げているのに、通じない。
翻って考えてみれば、そのこと自体が僕にとっては、国民のレベルを知る、いいチャンスになっています。
この「レベル問題」は、なんばさんへのいいがかりめいたコメントやら何やらにも表れ、ご迷惑をおかけしてきました。
このような割の合わないご迷惑にもかかわらず、サイトを運営していただいた御厚情には、胸のつまる思いです。
繰り返しになりますが、なんばサイトの更新停止は、因縁めいたタイムリーさを感じます。
こちらも、いつまでも読解力のない低レベルの読者をターゲットに含めるべきなのか、迷っているところです。
今後もお会いする機会もあるかと思いますが、その折には、何か恩返しのご挨拶をさせていただきたく存じます。
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