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連載第五回 社会システムとは何か

■連載の第五回です。前回は「秩序とは何か」でした。秩序とは、複雑性が相対的に低い状態でした。複雑性とは、与えられたマクロ状態に含まれる、ミクロ状態の違いによって区別された場合の数です。秩序とは、場合の数が少なくて生起確率の低い状態のことです。
■色だけ違う白玉と黒玉を十個ずつ入れた瓶をシェイクしたとき、遠くから見てグレーに見えるように混ざったマクロ状態と、上に白玉、下に黒玉ばかり集まったマクロ状態では、後者が秩序立っています。そこに含まれる場合の数が少なく、生起確率が低いからです。
■日常語では、進化した生物のように込み入った構造をもつ秩序を複雑だと言います。これは記述に必要な情報量のことで、システム理論では複合性に当たります。複合性の高い(日常語では複雑な)秩序ほど、場合の数が少なくて生起確率が低いので、複雑性は低い。
■社会学は定常システム概念を採用しますが、無限波及的均衡が秩序を構成する均衡システムと違い、定常システムは要素間の交互的条件づけという内部メカニズムの永続的作動で、確率論的にありそうもない状態を維持します。内部的作動による秩序維持と言います。
■定常システムは、内部的作動を永続させることで、システムと環境との間の複雑性の落差──環境よりも複雑性の低い状態──の維持という課題に応えます。内部的作動による境界の維持というダイナミズムに注目するところが、定常システム概念の認識利得でした。

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投稿者:charlie
投稿日時:2003-08-15 - 15:09:00
カテゴリー:連載・社会学入門 - トラックバック(2)